「認知症かな?」と思ったら、やるべき6つのこと

2017年12月01日

STEP1 ご本人の状態を観察するポイント

まずはご本人の状態をしっかりと確認しましょう。ポイントは以下の4つです。
1.同じことを何度も言う・聞く
2.物忘れが目立つ
3.興味・意欲・関心が薄れる
4.家に帰れなくなることが増える

STEP2 認知症という症状を理解する

認知症は、脳が何らかの原因で障害を受け、日常生活に支障がある状態を言います。そして放っておくと進行する病気であるということを認識しましょう。
症状の中には他人に対して攻撃的になったり、物を盗られた妄想など、それまでのご本人からは考えられない状況が出ることがあります。それには「あくまでも病気がさせていることだ」とご家族自身が割り切れるかどうかでご本人の状態も変わってきます。

STEP3 認知症への対応方法を知る

1.アルツハイマー型認知症

特徴:
認知症の半数以上がアルツハイマー型。女性に多い。表情がなくなる
記憶障害や判断力の低下、見当識障害など
例 :
  • 薬をまだ飲んでいないのに「飲んだ」と言う
  • 約束をした事自体を忘れている
  • 料理の手順がわからない
  • 片付け方がわからなくなり、部屋が散らかり放題になる
  • 今日の日付が分からなくなり、アナログ時計が読めない
  • よく行く場所で迷子になる
対応:
とにかく無理強いはせずに不快な場面は避け、安心できるような声掛けを行いましょう
  • 本人の言動は否定せず、いったん笑顔で受けとめ安心してもらう
  • 薬の管理を行い、きちんと飲んだかまで見届ける
  • アナログではなくデジタル時計を使用する
  • 物を盗られたなどの妄想が起こっても、否定はせずに別の話題に変える

2.脳血管性認知症(まだら認知症)

特徴:
アルツハイマー型に次いで患者が多い(特に男性)
障害を起こした脳の場所によって起きる症状が変わる
例 :
  • 物忘れや計算力の低下はあるが、以前と判断力は変わらない
  • 感情がコントロールできず、すぐに泣いたり怒ったりする
  • うつ傾向が見られ、表情が能面のように乏しい
  • 分かっていても言葉がなかなか出てこない
対応:
できるときとできないときがあるため、できないことのみ介助を行い、ご本人のできることを増やしていきましょう

3.レビー小体型認知症

特徴:
男性の発症率が高く、女性の約2倍。
アルツハイマー型認知症と似た症状
  • 人物や小動物などの幻視
  • 歩行障害、筋肉の収縮、手の震えなどのパーキンソン症状
  • 時間帯によって気分や態度が変わる日内変動
  • 自分はまだ若く子どもは小さいなどの誤認妄想
  • 頭がはっきりしているときと、ボーっとしているときの変動が大きい
対応:
・幻視はご本人には見えているので否定はせず、話を合わせて安心させる
・ご本人の状態の見極めとそれに応じた対応が必要です
よい時:生活動作やリハビリなどを重点的に行う
悪い時:誤嚥や転倒に注意しながら静観する

4.前頭側頭型認知症(ピック病)

特徴:
患者数が少なく、原因など病気に対して解明出来ていない事が多いことから
有効な薬もなし。また精神疾患と誤診される場合も多くある
  • 物忘れはあまり見られない
  • わざと約束を破る、万引きなどの反社会的・反道徳的行動がある
  • 決めた時間に決めたことをしないと気がすまない(時刻表的な生活)
  • 食物など特定のものや行動へ強いこだわりがある
  • 見たものに影響されやすく、同じような行動やオウム返しをする
  • 言葉がなかなか出てこないため、黙ってしまう場合もある
対応:
本能のおもむくままの行動をするため、周囲に関係なく行動がマイペースですが、強引に止めるのではなく、笑顔とジェスチャーで分かりやすく接する。本人にとっての決まりごとがあり、決まった行動をさえぎると興奮したり暴力をふるったりする場合があるので環境や日課は変えない

STEP4 本人ができることを見つける

認知症だからといって「援助する・援助される」関係ではなく、ひとりの「人」として常に対等な関係をつくりましょう。「できないこと」ではなく、「できること」を見つけ出し、その人らしい生活を支援しましょう。

STEP5 それでも手に負えないこともある

介護者にも自分たちの生活があります。無理をし過ぎるとご本人の精神状態や・仕事などにも悪影響です。「自分や家族だけではどうしようもないこともある」ということを頭に入れておきましょう。
適切に介護サービスを組み合わせてご本人の生活だけでなく、介護者の生活も守ることも考えなければなりません。まずは、自分たちで介護サービスを知ることが必要です。
介護サービスを知る

STEP6 専門機関への受診・相談をしましょう

ご自身で判断するのではなく、必ず認知症の専門機関に受診・相談することが大切です。 物忘れ外来や地域包括センターなどを活用し、まずは相談しましょう。
介護相談ホットライン

介護サービスを利用することでご本人も介護者も無理のない介護を継続できます。それが結果としてその人らしい生活を送ることにつながっていくのです。